特定技能外国人の退職原因と外国人人材の定着する企業の特徴

|

176

Views:

今回は「特定技能外国人の退職原因と外国人人材の定着する企業の特徴」について書いていきます。

 

特定技能制度ができて約4年が経過し、多くの外国人の受け入れ企業、登録支援機関が外国人人材の雇用に関わり、

外国人の退職について悩まれているのでは?と感じます。

「外国人がすぐに辞めてしまう」
「どうしたら外国人が定着してくれるのか。」
「こんなことなら日本人の方がいいのでは?」

各方面からこのような悩みを聞きますし、
受け入れ企業だけでなく、支援機関である我々も向き合っていかなければならない課題だと認識しています。

外国人採用がうまくいき外国人が定着する企業もあれば、外国人が定着しなかった企業もあるので、今回は外国人が定着するためにどのようなところを気をつければいいのかについて書いていきます。

今回の内容は特定技能人材の受け入れ企業や登録支援機関など確実に全ての外国人に関わる人々が認識しておくべき内容だと思うので一人でも多くの方々に読んでいただければと思います。

外国人を受け入れて失敗「外国人ってすぐ辞めちゃうでしょ?」

特定技能制度が2019年に始まって早くも4年が経ちました。
日本語レベルN4以上の方々が対象ということで、「日本語が話せるならうちでも雇ってみようかな?」ということで採用に踏み切った企業も多いと思います。

ただ採用してみて上手くいった企業もあれば、あまり上手くいかなくて「やっぱり日本人じゃないとうちの仕事は務まらない」と感じて特定技能人材は採用しないと決めた企業もあります。

我々が支援機関として支援をしている外国人は定着率がいい方だとは認識していますが、それでもやはりすぐ転職してしまうケースもあります。

外国人の方々の転職へのハードルは日本人に比べてやや低いなと思ったことがあります。

いくつか理由があります。

・限られた期間に如何に稼げるかを重要視している
・引越しのハードルの低さ
・facebookでオープンにされた都会の雇用条件

限られた期間に如何に稼げるかを重要視している

特定技能1号は最大5年間しか働くことができません。
多くの外国人が家族を養うためであったり、自分自身の将来のために日本で働くという選択をしています。
例えばミャンマー人でいうとミャンマーで1ヶ月間一生懸命働いたとして月収3万円程度です。そんな中、日本で働くことで手取り18万円、19万円稼ぐことができます。稼いだお金の多くは現地に住む両親に仕送りをしています。現地に住む家族はそのお金で家を買ったり、車を買ったりするそうです。

特定技能1号が5年という限られた期間に限定されているので、1ヶ月働いて18万円よりも、月19万円、20万円の方に流れてしまうのは必然かなと思うところもあります。

(特定技能2号ができたことで、年数の縛りは無くなり、ずっと日本で働くことができるようになるため、この辺りの課題が解決すればいいなと思っています)

引越しのハードルの低さ

2つ目の理由として引越しのハードルの低さが挙げられます。
外国人の方々が賃貸の初期費用を払うことは金銭面で厳しく、多くの企業が住宅を準備する形で外国人の受け入れを行なっているため、外国人が初期費用を負担することは稀です。

よって外国人自身が初期費用を負担していないため、気軽な気持ちで転職という選択をしてしまう現状にあります。

逆に外国人が引越し時に初期費用で20万円とか払っていれば、
・転職するために引っ越しをすることでまた初期費用20万円を払うこと
・今の会社に留まること
この2つを天秤にかけて、今の会社に留まる選択をする外国人も相当いると思います。

「では日本人社員と同様に家を外国人に用意して貰えばいいのでは?」という結論にいきつきますが、雇用条件をそのようにした瞬間に人が集まらなくなります。応募が来ません。初期費用の何十万円を負担するのは外国人にとってとても負荷があるものだと感じました。

facebookでオープンにされた都会の雇用条件

外国人の方々の多くがFacebook等のSNSを使っています。
インターネットによって情報を自由に得ることができるようになりました。facebookには東京や大阪など最賃ベースが高い雇用条件がたくさん掲載されています。

また、外国人の友人ともいくらぐらい稼いでいるのか?というやりとりを普通にしているため、自分自身の稼ぎが周りと比べて高いのか低いのかが明確になっています。

例えば東京や大阪などの最低賃金のベースが高い地域の雇用条件はよく見えてしまうため、地方の田舎の企業からは人材が流出し、東京大阪名古屋の方は外国人が集まってくる傾向にあります。

この辺りは国としても課題の1つとして考えているそうですが、具体的な解決策はなかなか出てこないように感じます。

こういった3つの理由が転職へのハードルが低くなってしまう原因です。

地方でもうまく定着している企業や外国人の特徴

すぐに退職してしまう外国人がいる中でうまく企業に定着している外国人もいます。そんな企業の特徴をいくつか挙げていきます。

・雇用条件が都内と遜色ない

・日本人と仲がいい

・外国人に寄り添った制度づくり

・カップルでの就業

雇用条件が都内と遜色ない

まず最初に外国人が見る場所が雇用条件です。
「この会社で働くといくら稼げるの?」というところです。
外国人だから安く雇えるというイメージで採用活動をすると、例え採用できたとしても長期的な雇用に繋がりません。

SNSを日々見ている彼らからすると地方の求人も目にしますし、大阪東京などの求人も見ています。

地方の企業からするとそんなに給料払えないというところもあるかもしれませんが、外国人の方々からするとより稼げる企業へ流れていく傾向にあります。

比較対象が東京大阪ということを覚えておく必要がありますし、外国人が定着している企業は雇用条件がいい傾向にあります。

例えば弊社の求人でいくと東京大阪と遜色ない求人で募集をかけている企業がたくさんあります。

日本人社員と仲がいい

うまく企業に馴染んでいる外国人は上司や仲間と仲がとてもいいです。例えば日本人社員の方と食事や遊びに行ったり、日本人社員の子どもと遊んでいたりして、うまく溶け込んでいます。

また国籍が違うからと言って差別するようなことはなく、理解しようとしてくれている空気感があるように感じます。

 

外国人に寄り添った制度づくり

長期雇用に成功している企業の多くは外国人の方に寄り添った制度を独自で作られているところが多いです。

「うちの会社はこの条件で社員を雇っているので・・・」と言う風に日本人と一緒の条件で雇用しようとする企業は定着することなく早期に退職してしまいます。

企業として外国人だけ優遇することが難しいことは理解していますが、特定技能制度ができたことで、日本人、外国人など各々にあった制度を作っていく必要性を感じました。

文化も違えば、生きてきた環境も、将来の生き方も違います。

例えば多くの外国人の方々が脱退一時金を利用し、日本で支払ってきた国民年金を受け取るために一時的に帰国する選択をします。

私たち日本人であれば老後に年金を受け取りますが、外国人の方々で年金を受け取ることを考えている方はほとんどいません。

このように日本の制度である国民年金への考え方が日本人と外国人で違うのは当然のことですね。

こういった違いに向き合うことが大切ですね。

企業の中には家族へ会うための一時帰国の制度を作ったりするなど外国人のための制度を取り入れたりしているところもあります。

友人やカップルでの就業

落ち着いて長く働いている外国人の特徴として友人やカップルで同じ企業で働いていると言う方々もいます。

やはり一人ぼっちで日本人の中で働き続けることを辛いと感じる方々もいます。最初は1人でも大丈夫だと思って入社してもやはり寂しいなと感じるポイントがきます。

そんな時に「友達がいるから●●県に行きたいです」とか「彼女も一緒にここの会社で働けませんか?」と相談されることがあります。

この辺りは企業側で採用できる人員の上限があるので難しい場合もありますが、こういった発言に寄り添うことで、長期雇用につなげられている企業もありました。

カップルで働くとか、友人と働くなどは理解しづらいなと感じますが、こういうところでも考え方の違いがあります。

私自身も外国人人材と多くの時間を接してきたことで考え方が変わりまして、「自分の身内に紹介したいほどいい企業」という見方をしているのかなと感じることがあります。

やはり早々に退職してしまう会社に対しては外国人から「友達も呼びたいのですがいいですか?」と聞かれることがありませんので。

同じ国籍の仲間や、気の知れた仲間が、同じ会社で働いているということは安心材料となります。

結局外国人人材を長期雇用につなげるために地方企業がすべきことは?

外国人人材が地方の企業に定着する唯一の方法は会社や従業員の方々が彼らに寄り添うことだと思います。

もちろん甘やかしてはいけないと思いますし、なんでも言うことを聞くのは違いますし、彼らから日本人へ歩み寄らないといけない部分もあります。

寄り添う方法として、例えば日本人の方から外国人に対して声かけをするように意識をしたり、彼らの文化や国民性に寄り添った制度を作ったり、自社の周りで彼らが生活しやすいような人間関係のコミュニティを作ったりする必要があるように感じます。

日本人も同じで、社内に自分の居場所がなくなれば転職がチラつきます。

ここにいてもいいんだ、この会社は自分を受け入れてくれているという意識が長期雇用につながっていくのではないかと考えていますし、地方の企業が外国人を受け入れていく唯一の方法なのではないかと思います。