最近よく聞く?年金脱退一時金とは?

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この数ヶ月間、本当にたくさんの相談が来ています。支援している特定技能外国人からも、受入企業様からも‥

とある特定技能外国人:「10月で日本に来て5年経つので、一時帰国したいです。年金もらいたいので、会社に相談してほしいです。お願いします。」

とある受入企業様:「なんか年金年金って言ってるんだけど、なんのこと?年金もらうってどういうこと?会社としては何をしたらいいの?」

こんなやりとりがとても頻繁に行われるようになりました。

それは『年金脱退一時金』というものです!

特定技能外国人を雇用している企業様が年金について相談を受けた場合に、どのようにしたらよいのか、この記事を参考にしていただけたらと思います。

そもそも年金脱退一時金って何?

年金脱退一時金とは、日本で働いて年金保険料を払っていた外国人が、退職して国へ帰る際に、払ってきた保険料の一部を払い戻しできるというものです。

特定技能外国人にとって大事なポイントは「払った期間5年以上、10年未満であること」です。

というのは、2021年までは支給額の加入期間の上限が3年でした。なので、技能実習生が3年で修了して帰国するタイミングでこの一時金の受給申請を監理団体がサポートして行っていました。

今は、技能実習から帰国せずに特定技能へ移行する人たちも増えてきたためか、支給対象の上限が5年に引き上げられました。

そのため、10年以上払うと老齢年金としての支給になることもあり、10年経つ前に5年分はもらいたい!ということで、技能実習から特定技能になった人たちからの相談が増えているんですね。

受入企業がする手続きは?

①社会保険脱退の手続き

最初にお伝えしたように、年金脱退一時金は「退職」して「国へ帰る」から受給申請ができるものです。ですので、受給申請をするためには「退職の手続き」つまり「社会保険脱退の手続き」が必要になります。

(ちなみに本人は国へ帰るのだから、「住民票を抜く」手続きも役所ですることになります。今回は本人の必要書類については割愛します。)

受給申請するのは本人ですし、年金機構のHPにもさまざまな言語での説明資料や申請書様式があるので、受給の申請は本人でもできるようになっています。

参照:日本年金機構HP

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/sonota-kyufu/20140710.html

 

②入管への届出

上記で退職の手続きをするので、入管へも2つの届出をする必要があります。

・雇用契約終了の届出

・受入困難の届出

参照:出入国在留管理庁HP

https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri10_00002.html

 

そして、さらに一時帰国後もその特定技能外国人を雇用し続ける場合は、

①社会保険加入の手続き

②入管へ「新たな雇用契約の締結の届出」

この2つをすることになっています。

 

退職して国へ帰るから申請できるのに、在留期限が残っている場合は出国時にみなし再入国許可申請をしていれば、また戻ってきて同じ会社で働くことができるんですね。「制度としておかしくないか!?」というお声も受入企業様からいただきますが、現状このようなことが可能になっています。

ただ、特定技能2号の業種拡大も発表されましたので、これから日本に長く住み続ける特定技能外国人が増えていくとまたこのような制度も変わる可能性もあるように思います。

受入企業としてできることは?

受入企業として、5年一度も帰らず家族に会いたい気持ちもわかる、戻ってきてまた頑張ってくれるなら、という思いで面倒な手続きに応じてくださる企業様もいらっしゃれば、社員として働いている特定技能の人たちに長い期間、現場を抜けられたらとても困る!と悩まれている企業様もいらっしゃいます。

登録支援機関としては本人たちに、企業様に迷惑がかかることを理解すること、受給申請は自分でやること、帰国費用やその間の生活費、特定技能2号の業種拡大を見越して、老齢年金としてもらうことも考えてみた方がいいこと、この3点を説明するようにしています。(が、しかし、実際に100万近くもらった人がいるなどの話も聞きますので、そうなれば自分も!という気持ちもわからなくはないです‥)

確実にこの相談は増えてきていますので、新たに特定技能を採用される場合は、年金脱退一時金についての会社の方針を面接で伝えたり、本人の受給歴や申請に対する意思を確認するとよりミスマッチが起こりにくくなると思います。

また、採用してから帰ってもらうのはちょっと困るけど、仕事が始まる前に帰っておいで!ということならOKという場合は、帰国と同時に変更許可申請ではなく、海外からの呼び寄せの認定証明書交付申請をするということも可能です。(審査にかかる期間が長くなる=その間に久しぶりの母国でリフレッシュ!日本に戻ったら仕事を頑張ってもらう!ということです。※逆に戻ってこないというリスクがなくもないですが‥)

 

ということで、この記事では、受入企業様を悩ませる年金脱退一時金について説明いたしました。少しでも参考になれば幸いです。