今月9日に、熟練技能を持つ外国人の在留資格で、事実上、無期限に滞在できる「特定技能2号」について、
外食業や飲食料品製造業など11分野に大幅に拡大する方針が自民党の合同会議で了承されました。
今秋にも9分野の試験を開始し、合格者は来年5月以降、2号への在留資格変更が認められる見通しとなりました。
また「2号」の対象拡大と並行し、国際貢献を掲げた外国人技能実習制度を廃止する方針を発表しました。
4年前に始まった、熟練した技能を持つ外国人に与えられる「特定技能2号」の在留資格は、
在留期間の更新に上限がなく、事実上、無期限に滞在できるほか配偶者などの帯同も認められており、
現在は「建設」と「造船関連」の2分野の業種に限られています。
今回の閣議決定後、一部では「事実上の移民政策だ」という慎重論もありますが、
1号は約14万6千人いるなか2号は11人にとどまっており、特定技能制度の導入後も人手不足は続く中、
各分野を所管する省庁や経済界は「人材の定着」につながる2号の分野拡大を要望しています。
深刻な人手不足の分野において、今後は特定技能2号外国人の労働力は必要不可欠なものになるでしょう。
では特定技能2号とは、特定技能1号とどこが違うのか、簡単に説明します。
在留資格 | |
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1号 | 1年を超えない範囲内で更新、通算で上限5年まで |
2号 | 3年、1年又は6か月ごとの更新、上限無し |
1号は通算で上限5年までですが、2号は更新される限り上限はありません。つまり、2号の場合は更新の継続により事実上無期限に滞在することができます。
技能水準 | |
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1号 | 試験等で確認 |
2号 | 試験等での確認は原則として不要 |
1号も2号も技能試験が必要です。1号は特定産業分野において「相当程度の知識または経験」を持つ外国人に与えられる在留資格ですが、2号は「熟練した技能」を持つ外国人に与えられる在留資格です。そのため、1号よりも2号の方がより高度な技能水準が求められます。例えば、同じ業務に従事する場合でも以下のような違いがあります。
1号・・・指導者の指示・監督を受けながら作業をする
2号・・・作業工程を管理し、複数の従業員を指導・監督しながら作業する
特定技能2号では、「管理者、指導者」としての技能も求められます。
日本語能力水準 | |
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1号 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 ex:日本語能力試験N4以上合格 |
2号 | 試験等での確認は原則不要 |
1号では「生活や業務に必要な日本語能力」が必要とされ、日本語能力試験N4取得や国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の判定(A2以上)によって確認します。2号は、求められる日本語能力水準はありません。
家族の帯同 | |
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1号 | 基本的に認められない |
2号 | 要件を満たせば可能(配偶者・子) |
帯同した家族のビザは「家族滞在」と呼ばれ、「結婚が成立していること(配偶者の場合)」「扶養する能力があること/扶養を受けること」などの要件があります。
支援業務 | |
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1号 | 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外 |
2号 | 支援不要 |
1号特定技能外国人を雇用する機関は、受け入れる外国人の生活上の支援に関する計画を作成し、それに基づいて支援を行わなければなりません。これらの義務は、登録支援機関に委託することもできます。一方、2号の場合は支援計画の策定および実施は義務付けられていません。
受け入れ見込み数(上限) | |
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1号 | あり |
2号 |
なし |
なお、介護については、「在留資格:介護」という別の長期就労制度がすでにあるため、2号の創設は見送る方向で進んでいます。